<下町散策>

ファッション性の強い用具の製造販売を業としながら、美的センスのなさ、ト

レンドへの関心の低さ、さらには政治経済音痴、どう考えても職業人として失格

の域を脱する事が出来ない自分である、その分野はいっさい若人や諸先生任せ、

その方が結果を産んでくれると思っている。

それでも時代に取り残されたくないとの足掻きから、時々時間を作

ってはトレンディな街並みを散歩することがある。

最近、東京の下町は意外に再開発が進んで、モダンな街並みに変貌しつつある。

広い緑地帯に高層マンションが建ち、可愛らしい洋菓子店や、大型店が街並みを

形成している。

山手で生まれながら、下町が好きで、休日になるとよく大福を食べにいくのも

下町である、最近むしろ下町ウォッチングの機会が多くなったような気がする。

開発が進んでも、探せばまだまだ懐かしい場面に遭遇する、銭湯なんかもモダン

な銭湯が多くなってもまだタイルの壁面いっぱいに風景画を描いた下町風情の濃

厚な銭湯だってあるし、私が一番いいと思うのは大衆食堂だ、紺色のすその方が

少し擦り切れて、白っぽくなったのれんをくぐると、先ず目につくのは硝子のシ

ョ−ケースだ、中には私の大好きな肉じゃが、納豆、ほうれん草のおひたし、大

根の煮つけ、おでん、等々独身で薄給で苦しんでいたころ良く食べたおかずが今

食べても私には大変な御馳走である。

大半のそんな食堂は代替わりして、前かけをしたおばさんは見られなくなり、若い息

子嫁の時代になりはしたが、ショ−ケースの中身も味も、姑から引き継いだらしい味

がそのままである、モダンな街並みに変貌する下町に、しっかりと地に

足を付けた、地域密着型の商売であり、客とのコミュニュケーションの素晴らし

さは学ぶところが多い。

ヨーロッパ鮒“カラゥシェ”

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